ひとりのセラピストのひとりごと

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ターミナルケア病院てどんなところ?終末医療の中のあん摩マッサージ指圧師の仕事

  私は現在ターミナルケア(終末医療)を行う病院でマッサージ師として仕事をしています。あまり聞き慣れないターミナルケアですが、どんな病院で、どんな患者さんがおられるか、簡単にご紹介いたします。

 

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ターミナルケアとは

 

ターミナルケア terminal care

 

 

 

終末期の看護あるいは臨終の看護の意。数週ないしは数ヵ月のうちに死亡が予想される治癒の望みのない末期患者に対して,キュア (cure。治療) でなくケア (care。看護) を重点的に行おうとする医療のあり方をいう。

https://kotobank.jp/word/ターミナルケア-169045

 

  どんな人も病気になると病院で治療をしますが、重い病気や治療を中止せざるを得ない病気の時、残された人生を穏やかにすごすことに重点をおいて生活を見直します。

 

 

  特にご高齢な方では、癌などの治療に体力的に耐えられず、それ以上の医療的介入をしない選択をする方もおられます。

 

 

 (重症のがんなどは完全な治療自体が難しかったり、中程度でも放射線治療や強力な化学療法などは副作用が激しく身体に負担がかかるため、超高齢者の方はがんが発覚しても治療をしなかったり、治療をはじめても止めることがあります)

 

 

  病気はできるだけ治したいものですが、治すこと自体に苦痛が激しいようなら、病気を治すことよりも、苦痛をとる方を重視した方がよいことがあります。

 

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  こういった病気の治療をどうするか?という問題は、患者さんの年齢(若い人なら、基本的には完治や寛解[症状が出なくなること]を目指して治療します)や生活背景などを考えて、患者さんとご家族、主治医が話し合って決定していくことになります。

 

 

  私の病院では、がんなどの治療を終えて(あるいは中止して)、来る方のケアやサポートをしています。

 

 

  病院のほかに住居施設(老人ホームのようなもの)やデイサービスも近くにあり、マッサージ師である私の仕事は、主に患者さんの身体が動かなくならないように、現状維持を目的として身体を動かしてあげる、あるいは機能訓練(歩く練習など)をするなどです。

 

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マッサージ師が病院で働くということ

  マッサージ師は医療保険適用外のお店や治療院、訪問マッサージ、整形外科などを行うことが多いですが、一部の入院施設のある病院でも拘縮(身体が固まってしまう)予防のために雇っているところがあります。

 

 

  ただあまりメジャーではないのか、私が調べた限りでは募集も少なく、知り合いに私以外の病棟勤務マッサージ師はいません。

 

 

  一般の病院で行われているのは、急性期の治療です。

 

 

  急性期とは、病気が始まったばかりのこと。薬や手術などで治療します。

 

 

  一方、マッサージ師は急性期の治療に関与することができません。

 

 

  マッサージは慢性期(病気が始まってから時間が経ったもののこと)の治療が主な使い方ですので、普通の病院でマッサージ師が働くということはそうありません。(ただし整形外科は血行を良くする目的でマッサージ師を雇っているところが多くあります)

 

 

  私は鍼灸マッサージ師ですが、どうしても整形外科に限定されるのが嫌だったんですね。頑固者なので・・・。

 

 

  でもどうしてもどうして〜〜も病院で働きたかった。

  だから必然的にターミナルケア病院に来ることになりました。

 

 

  急性期にリハビリをしている理学療法士さんとか、スポーツ現場でカッコよくケアをするスポーツトレーナーさんとか、ああいった方に比べて、正直カッコいい仕事ではないと思います。

 

 

  普通、治療というのはゴールを決めて行っていきます。例えば骨折して歩けなくなった人のリハビリは、理学療法士さんが歩くことをゴールに設定して一緒にリハビリしていくわけですね。

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  ところが私の仕事は患者さんを出来るだけ穏やかに見送ることなんです。穏やかに過ごせるために、身体の状態を維持してあげる。今がベストで、だんだん動かなくなっていくけれど、その速度をできるだけ落としてあげる。そういう仕事。

 

 

  ギラギラ感はありません。

 

 

  自分がどんなにギラギラしても、患者さんの治療はもう終了しているわけです。

 

 

  率直な感想は、あんまりカッコいい仕事じゃないなあ、と思いました。

 

カッコ良くはない、だけど

  カッコよさで言ったら全然イケてないと思うんですけど、私の仕事は患者さんに必要みたいなんです。

 

 

  患者さんは、「あなたが必要!」とは言ってくれませんけれど。

 

 

  みんな治療や人生に疲れて、ゆっくりしているひとたちなので・・・。私たちをあてにして何かを求めて来ることはそうそうありません。

 

 

  ただ、無いよりはあった方がいい。

 

 

  患者さんは寝たきりなので身体を動かす機会がありません。身体を動かさないと、動かしたくても動かせなくなってしまったり、体力が余計に落ちてしまったりする原因になります。

 

 

  だからたまに動かしてあげる。

 

 

  たったそれだけの仕事なんですね。

 

 

  たったそれだけだけど、そのたったそれだけのことが、患者さんの平穏のために、必要なことなんです。

 

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ターミナルケアマッサージ師の葛藤

 

  まだ新入社員で、いろんな葛藤があります。

 

 

  患者さんは時に元気になって(と言っても、いつもよりは、ですが)、ありがとう、会えて嬉しい、これからもよろしく・・・と仰ってくれますが・・・

 

 

  一方で、去る人もいます。当然なのですが。

 

 

   近いうちに必ず去る、それまで穏やかに過ごさせてあげることが使命なわけで、去ることが前提なんですね。

 

 

  めちゃくちゃ悲しい!苦しい!つらい!!という訳ではないのですが、やりがいと、辛さと、不甲斐なさと、毎日色々悩んでいます。

 

 

 

 

  いくつもの人生が、通り過ぎてゆくのを見守っています。

 

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  最近やっと少しは慣れてきたのですが、正直申しまして、患者さんの外見もかなりショックでした。

 

 

  ほとんどの方が何かしら麻痺や障害を抱えておられますが、外見的にみなさんが接している普通の方と大きく違いがあります。

 

 

  以前も大規模病院で働いていたので、点滴や経鼻カテーテル、バルーンなどが入っている方はよく見てきたのですが、

 

 

   麻痺が激しい方は、見ていて胸が苦しくなりましたし、こわい、と思うことがありました。

 

 

  新卒なので、誰しも経験することだと思います。

 

 

  患者さんの方が慣れていて、分かっておられるようで、そんな私にも優しく接してくださって、本当に感謝しています。

 

 

  職場の上司もそうですが、患者さんも私の先輩です。

 

 

普通の病院と違うこと

  私の病院は普通の病院とはやっていることが違うわけですが、スタッフにも違いを感じました。

 

 

  あくまで私の個人的な意見なのですが、普通の病院では患者さんよりも患者さんの病気を見ているひとが多いんです。

 

 

  患者さんの気持ちを考えて・・・とは言われているでしょうが、実際は患者さんの病気を第一に考えてみんなが行動していると思います。

 

 

  というか、患者さんの気持ちを真の意味で重視している人はあまりいないと感じていました。

 

 

  病院にとって大切なのは、患者さんではなく、患者さんの病気を治すということ。

 

 

  まあ、当然なのかな、と思っていましたけど・・・私はあくまで鍼灸マッサージ師という“パラメディカル”の人なので、患者さんの気持ちしか見ていなかったんですね。

 

 

  看護助手のアルバイトをしていた時のことですが、治療に関することはしないので、医師や看護師たちが治療していくのをただ見ていました。

  患者さんの気持ちって本当にだれもわからないんだなあって感じました。

 

 

  普通の病院で働いている時は、かなり孤独感があったんですね。

 

 

  でも今はその時に比べたらあまり孤独感はないかもしれません。

 

 

  といっても普段話すのは部署内の人だけなのですが・・・患者さんの人生を見て、気持ちを想像している人がいて安心しました。

 

 

  ここでは人を人として見ていると思います。

 

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誰にでも訪れる終着点

  ターミナルは誰にでも訪れます。

  麻痺や障害、認知症のある患者さんを見ていて、私もこうなる日がくるんだなあ、と思っています。

 

 

  でもそういう人たちがひとりぼっちではいけないと思うんですね。

 

 

  私は患者さんを治すことはできないけど、癒すことができる。

 

 

  そばにいることができる。

 

 

  この病院が、私のマッサージ師としての終着点かはわかりませんが、とりあえず今は、自分にできることを精一杯やっていこうと思っています。