ひとりのセラピストのひとりごと

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村上春樹「1Q84」青豆の仕事は可能か

 私の人生のバイブルのひとつが、村上春樹先生の「1Q84」です。この物語には、殺し屋の女性が出てきます。昔テレビドラマであった、「必殺仕事人」のように針のような鋭利なエモノで、標的をひとつきにして殺してしまいます。「1Q84」のこの殺し屋は、スポーツインストラクターや、鍼灸の心得があり、凄腕の殺し屋として、物語を歩みます。「1Q84」を読んでいない方は、「必殺仕事人」を想像してください。       「チャララ〜〜♪・・・・ぶすり」みたいな針でひとつきする殺し方。今回はあれが実際に可能かどうか、考察してみます。

 

 

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鍼灸の鍼

 鍼灸で使用する鍼でよく使われる物は、髪の毛と同じくらいの細さの、「和鍼」というものです。あまりに細いので、そのままでは打つことができないため、「鍼管」という筒に入れて、持ち手を叩いて打っていきます。痛みは見た目の割ににほとんどありません。上手い先生だと、無痛です。それは鍼が細いからということと、鍼管を使っているという理由があります。鍼管は、痛みを軽減するためにも使われているのです。

 

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和鍼の刺し方

 和鍼は、鍼管にいれて叩いて先を刺したあと、ゆっくりと捻りながら深く刺していきます。細くて柔らかいので、とてもしなりますから、捻りながら深く刺すのは、少し時間がかかります。さらに、硬いものがあれば、貫通させるのにはさらに時間がかかります。人間の身体の中には、骨や腱など、硬いものがいくつも入っています。これに細い鍼を通すのは、達人だとしても多少の時間はかかるのです。

 

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 脳は頑丈な頭蓋骨で保護されていますし、首の方から刺したとしても、障害物があったり、角度的な問題だったり、かなり無理があります。青豆たちのやり方は、「エイッ!」という感じでほとんど一瞬で致命傷を負わせています。頭蓋骨の周りの硬い部分を考えると、その短時間で和鍼を打つのは技術的に無理があります。ですから、青豆(1Q84)や必殺仕事人が使っている針は、和鍼では無い!

 

 

すごい鍼がある

 じゃあ・・・やっぱりああいう仕事人は、架空なの?とガッカリしたあなた。まだ諦めてはいけません。すごいのがあります。

 「中国鍼」というものがあります。主に中国で使われている鍼で、和鍼よりかなり太く、あまりしなりません。素材はステンレスなどの合金で、かなりしっかりしています。中国鍼はしならないので、鍼管を使わずに、「エイッ!ぶすっ!」って感じで刺します。

 

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 太さは様々ですが、1番太いもので縫い針くらいあります。さらに、長さは畳針(10cm弱)のようにしっかりしたものもあります。これを人体に打つと考えると・・・・怖いですね。なんつうスプラッタ((((;゚Д゚)))))))

 

こちらは畳針。見たことの無い方もおられるのでは。 

大五郎 差針 2本入 145mm

大五郎 差針 2本入 145mm

 

 こんなものを刺す治療がある。ぎょえー!ですよね。治療用鍼は医療機器なのでアマゾンにはありませんでしたw

中国鍼を打っている写真を探しましたが、スプラッタすぎるのでここでは控えます(笑)興味のある方はグーグル先生に聞いてみて下さい。ちなみに中国鍼でも細いものはあり、技術のしっかりした方は無痛で打ってくれますから、偏見の無いように!(^◇^;)

 

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 打つ時の時間を考えると、青豆や必殺仕事人が使ってたのは、こういうのな気はします。青豆については、「アイスピックのような」という記述があるので、きっとある程度の太さがあるものに違いない。

 

ちなみに長くて太い中国鍼は、

日本では手に入りません。

当たり前だわ、おっかない((((;゚Д゚)))))))ちなみに私は、縫い針くらいの鍼は打ってもらったことがあります。二度とイヤ(笑)しならないくらいのものとなると、太い中国鍼が当てはまるのですが、このくらい太いと、傷が残ってしまいます。青豆については、「傷が残らない」と書いてありますから、中国鍼でも難しいですね。

 

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技術的問題点

 仮にものすごく細くて長い針があったとしましょう。それを、相手に、気づかれず、一瞬で致命傷を負わせ、傷跡を残さない。ズバリ不可能です。

 

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 脳は非常に強固に守られています。外側には頭蓋骨がありますし、その中にも硬い膜が脳を守っています。その名も「硬膜」です。魚の表面のようなツヤがあり、エラの部分のように硬くて曲がりません。脳はとても大事なものなので、硬いガードが二重に守っているのです。それを、傷跡を残さないほどの細い針で、短時間で撃ち抜くのは、どんな凄腕鍼灸師も不可能です。

 

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 何より、頑丈に守られているので、傷跡を残さないほどの細い針を刺せば、抜くときに折れる可能性があります。もし折れてしまったら、抜くことができないので、死体に証拠を残したまま立ち去らなければいけません。

 

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 折れないような素材の針。如何なる素材を用いても、傷を残さないような細さで、脳の保護を破り、一瞬で致死的な傷を負わし、なおかつ完全に折れないようにするというのは無理でしょう。折れない針を作り、テクニックを身につけるなら、他の手段を考えた方が絶対、効率的だしお金がかかりません。

 

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青豆、必殺仕事人・・・

人間業じゃないですね。さすがです。

 

 

・・・小説と漫画の話ですから(笑)

 

 

 

 

漫画っぽい鍼

 ちなみになんですが漫画っぽい鍼の練習方法があるのでついでにご紹介しておきます。

 「髪の毛と同じくらいの細さの和鍼を、厚さ1センチくらいの木の板に貫通させる」という練習があります。「堅物通し(かたものどおし)」という練習方法です。

 

鍼の素材

和鍼は触るとグニョグニョでしなります。柔らかさを決めるのは素材と太さですが、一番柔らかい素材が銀です。もちろん合金で、メーカーによってまた柔らかさが違うのですが、これの一番か二番目に細いものを、板に通します。鍼の太さ、直径はだいたい0.12〜0.16mmくらい。ちなみに髪の毛の太めのものが0.1mmくらいだそうです。初めは鍼管で打って立てて、それから鍼を捻りながら穴を開けて行く練習です。

 

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 学生は「刺鍼練習器」という、ゴム板の上に布やスポンジが巻いてあるもので練習するのですが、そのゴム板ですら、銀鍼を貫通させるのは私にはできませんでした(^◇^;)やるとわかるのですが、めちゃめちゃ難しいです。でも私の学校の過去の卒業生に、鍼が貫通した板を持ってきた人がいたとか。天才っているものですね(笑) 

 

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そんなわけで世の中に天才鍼灸師は居るのですけれど、鍼で青豆や必殺仕事人のように、仕事をするというのは、不可能です。そらそうだ(笑)

 

鍼灸師は治療をしますのでご安心下さいねえ(^ω^)でわでわ