ひとりのセラピストのひとりごと

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病院はなぜ冷たい?医師・看護師に冷たくされたことがある患者さんは意外と多い。病院が冷たいと思われる本当の理由

セラピストとして現場勤務していると、時々病院で満足のいく治療を受けられなかったというお客様にお会いしました。

病院にかかる患者さんのなかには病院で素っ気ない対応をされて、病院について冷たい、冷淡だ、という印象を抱いている方も多いようです。

病院で勤務するようになった今では、そのように思われることについて何と無く事情がわかります。

 

今回は病院が冷たいと思われてしまう理由についてご説明致します。

 

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なぜ冷たい?病院の仕組みが関係ある!

病院は病気や怪我のときに治療をしてもらう場所です。大きな病院では混んでいることも多く、働いている職員もたくさんいます。病院は、人が集まる社会施設です。

 

診察はたくさんの患者さんを一人の医師が行うことが多く、長く待つことがあります。

病院では保険の手続きなどたくさんの事務処理があります。お会計の計算も、保険の手続き上時間がかかることがあり、場所によっては待ち時間が長くなることもあります。

 

なぜそんなに待たされる?病院の治療の流れ

長く待たされるとなぜこんなに待つのだろうと疑問に思われる患者さんもおられます。

私も病院職員になる前に、患者として1年の間外来に通院したことがありますが、大きな病院ほど長く待たされました。

なぜその時間を取られてしまうのか、病院の流れでご説明致します。

 

①受付

初めてその病院を利用するときのことを、初診と言います。病院の規模にもよりますが、まずは受付の人にどこが具合が悪いのかを説明し、受診する科を教えてもらいます。

 

小さな病院では内科だけ、など一つしか科がないのでわかりやすいです。大きな病院になると科がたくさんあり、どこを受けていいのかわかりません。まず受付に行って科を教えてもらい、診察券を作るなどの手続きを取ります。

病院の規模に関係なく、受付案内のときには保険証を提出します。

 

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②診察

患者さんは受付が終わると診察室を案内され、ここで診察を待つことになります。病院によってはここで問診票(どこが具合が悪いのか、今までにどんな病気をしたことがあるかなどアンケートのようなもの)を書きます。

また状態によって看護師さんに体温や血圧などを測定されることもあります。

 

診察室の中には医師が一人だけいて、順番に患者さんを呼び診察を行っています。

患者さんの状態は人それぞれで、全く違う程度です。患者さんは入院を検討するような人もいれば、薬もいらずに帰宅することができる人もいます。

医師は患者さんによって状態を確認する必要があり、診察の前にカルテでチェックしています。

 

また処置(注射などの手当て)の患者さんについて看護師からの報告を受けたり、指示をしていたりします。医師は患者さんが待っている間にも何かしているのです。

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③検査・処置 

医師は必要に応じて患者さんの検査や処置を指示します。その場合は患者さんはそれぞれの部屋に案内されることになります。

検査や処置も患者さんによってやり方が違います。もし間違えてしまうと大変なことになりますので、複数人の目で確認をしています。

処置は主に看護師が行います。注射や点滴は薬を混ぜるなどの作業があり、これも必ず2名で確認を行っています。

 

病院では絶対に間違えないようにするために多重確認をしています。これも時間がかかる原因です。

 

 

 

検査や処置で使う椅子やベッドなどは、必要に応じて患者さんが入れ替わるたびに消毒しています。

 

検査室は、外来の患者さんだけでなく入院の患者さんの検査も行うことがあります。入院患者さんでは免疫の低下した方もいますので、万が一ばい菌が残っていると感染する恐れがあります。

 

病院は感染を最も恐れています。広まるとたくさんの患者さんの命に関わることもある大変なものです。そのため消毒に時間をかけることがあります。

 

患者さんは検査・処置が終わると必要に応じて再び診察を受けることがあります。医師から結果や今後の治療計画、薬の内容などを聞くことになります。

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③お会計

病院は診察や検査・処置などが終わるとお会計の計算をします。この計算は少し複雑で、コンピューターで行っているところも多いですが、いまだに全て人の手で計算しているところもあります。保険を適用した会計金額を出し、患者さんに請求します。

混んでいれば、この計算にも時間がかかってしまいます。

 

医師から薬が処方されていれば、患者さんは病院のお会計の後に調剤薬局で薬を買います。この薬局は普通は病院と建物が別れていますが、なかには病院内に薬局もあるところがあります。

 

 

 

このように病院にはどうしても時間がかかってしまうポイントがあります。患者さんで混んでいれば時間がかかるのは当然ですが、混んでいなくてもあえて時間をかけなければいけない作業もあるのです。

 

病院で働いている人は、時間をかけなければいけない作業があるために他の部分で急いでしまいがちです。そのため患者さんと話すときに早口になってしまったり、焦って見えることがあります。

 

現役看護師イラストエッセイ 病院というヘンテコな場所が教えてくれたコト。

 

看護助手で働いたときに患者さんに怒られたこと

私は以前看護助手として大きな病院で働いていました。患者さんには高齢者の方が多く、書類の字を書くことがどうしてもゆっくりになってしまう方もおられます。

私は患者さんとよく話していましたのでそれを存じていました。

 

 

あるとき車椅子の高齢の患者さんを事務手続きに連れて行ったとき、事務のスタッフがとても早口で急かすので、患者さんが怒っておられました。

 

お怒りの気持ちはごもっともでしたが、スタッフの急いでしまうという気持ちも分かるので、患者さんにはただただ「すみません・・・」と後で謝っておきました。

 

「あなたが謝ってもしょうがないじゃない」と仰るのですが、私にできることと言えばあのスタッフの代わりに謝ることでした。

 

自分が患者だったときには、どうしてそんなに冷たいのと思っていました。しかしスタッフとしてなかに入ってみると、ああそういうものなのだなあと、納得してしまう現状があります。

 

 

患者さんには大変申し訳ないのですが、病院は接客業の心得のない方が多く働いています。事務のスタッフは事務のことしか考えられないように見えましたし、他のスタッフも、自分の仕事しか考えられないように見えました。

 

 

全ての病院がそうとは限りませんが、私がいた病院はそういうものでした。

 

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全ての患者さんを平等に診るために冷たい!?

救急車で、病院がどこも満床(患者でいっぱい、ということ)のために、治療が遅れて、死亡した、というニュースが以前ありました。これは絶対あってはならないことですが、それほどまでに病院は患者であふれています。

それだけの患者を全て治さないといけません。そのために完全にシステム化されています。

 

忙しいので効率化すると冷たく見えてしまう

 多くの患者を診るために効率のいいシステムが作られています。効率をよくするためには、一人の患者さんにかけられる時間が決まっています。

基本的に、スタッフは患者とは治療に関することしか話しません。しかし患者さんはつらい気持ちを訴えかけてくることもあります。

 

病院スタッフにもいろんな人がいます。仕事でいっぱいいっぱいで患者さんの気持ちまで考えてあげられない人もいれば、もっと話を聞いてあげたいと思う人もいます。

それは人それぞれです。

 

もちろん病院は理想を掲げています。医療は人の心に沿うもの、そのような企業理念を持っている病院がほとんどです。

 

しかし現実は、そこで働く人はいろんな人がいて、いろんな考えがある。

そして何より、全ての患者さんに平等に接しないといけない。だから一人の患者さんの話をしっかりと聞いてあげるというのが難しいのです。

それが、病院は冷たい、という印象の理由のひとつだと思います。

 

スタッフは患者さんの話を聞かないことも必要なので冷たく見える

病院スタッフにもいろんな人がいますが、患者さんにもいろんな人がいます。クレーマーのような患者さんもいますし、依存心の強い患者さんもいます。

何度も入退院を繰り返す患者さんのなかには、自分で健康管理ができない人もいます。どれほど熱心に指導しても、どれほど話を聞いてあげても分かってくれないこともあるのです。

それはその患者さんの意思であるので、仕方のないことです。

 

「治らない患者さん」は自分の意思で人生を選んでいる

例えば「お酒をやめれば体調がよくなりますよ」と言っても、患者さんの意思でお酒を飲んでまた病院に来るということもあります。

それは患者さんの決めた人生で、生き方ですから、私たちが口出ししていい問題ではありません。ただ健康管理については、どうしてもやめてほしいことがあるというのは伝えます。

 

私は個人的に病気になる生活を選んでしまう患者さんのことを「治らない患者さん」と言います。治らない患者さんに私たちができることは、ただ寄り添うだけです。

 

スタッフによっては仕事としてすぐに割り切ってしまう人もいますが、私はそこまで賢いタイプではなかったので理解するまでに時間がかかりました。

 

簡単に割り切ってしまう人は私から見ると少し冷たいように感じていました。しかしその人たちはきっと冷たいわけではなくて、賢さゆえなのだと今は思っています。

 

私のようにいちいち間に受けていると現場が苦しくなって仕事ができなくなります。(私はまだかろうじて出ていますが^^;)

真面目な人には二度とやりたくない、と医療職から離れてしまうこともあるようです。

 

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頑張る医療者ほど悩んでしまう?リハビリ部署の私のケース

患者さんを治したい、よくなって欲しいと強く思えば思うほど、うまくいかなくて苦しくなるときがあります。熱心な人は陥りやすいようです。

 

現在私はマッサージ師として少し特殊な病院に勤務しています。私の病院にいる患者さんは、もう治らない疾患を抱えています。

大きな病気をして治療を終えたので、医学的に言ったら「治った」のかもしれませんが、実際には障害が残っていたり寝たきりになってしまったりしています。とても「治った」という状態ではありません。

 

患者さんはほぼ全員がすでに医師に「治りません」と告知を受けています。にも関わらずできることを増やそうと懸命に努力する方もいれば、諦めてご飯も食べなくなってしまう方もいます。

 

 

私はリハビリを担当していますが、正直あまり意味がないと思っています。すでに「治りません」と告知を受けているので、リハビリは状態が下がらないようにするためのものです。

 

 治療のためのリハビリは目標を設定してそこを目指して練習していきます。リハビリとは本来ポジティブなものです。リハビリをすれば改善したり、目標に到達します。

 

ところが私の患者さんは治療が終わっているため、ポジティブなゴールも目標もありません。目的はあくまで現状維持です。

それでも患者さんが新しいことをしたいと言えば、できることを考えてきて一緒に練習します。

見えない道を開拓するように何かの練習をしているわけですね。

まるで人生です。

 

 

私は現場で患者さんに無理な要求をされたとき、「それはさすがに^^;」と言うことがあります。

 

 

「できません」「できるようになりません」と言われた患者さんの気持ちを考えると、私たちが冷たいと思われるのも理解できます。

 

 

こういう事情があるので医療は誤解されることがあります。

しかしこれだけは真実です。

医療者は患者さんのために仕事をしています。

 

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冷たく見えている看護助手だった私の話

私は循環器内科の入院病棟で働いていました。

循環器内科には、急変して集中治療室に運ばれていく患者さんが時々います。私の病院では看護助手はちょっとしたお手伝いやお掃除をしていましたので、急変の時も荷物を運んであげるなどのお手伝いをしていました。

   

ある患者さんが急変して集中治療室に移動したときに、その患者さんの荷物を集中治療室の新しい病室まで運んであげたことがあります。 ご高齢の患者さんで、ずいぶん前から食事もあまり摂っていませんでした。

そのときの私はまだ入社したばかりで、ほとんど素人。集中治療室は見慣れないし、急変も初めて見たのでとても動揺しました。

 

私が病室へ荷物を持って行くと、その患者さんには呼吸器がついていて、心電図が厳しくモニタリングされていました。

私にとってはそれも初めての光景。たくさんある機械と、聞こえてくるモニターの音になんだか怖くなった覚えがあります。

 

私が荷物を持ってその患者さんの病室に入ると、患者さんは私に気づかれました。

 

患者さんは私を見ると目で苦しいと訴え、助けを求めるように片手をこちらへ伸ばしてきました。

 

 

その手を伸ばす患者さんの表情、痩せ細った顔、震える手、呼吸器の電子音。

あれからずいぶん時間が経ちましたが、いまでもまぶたの裏に焼き付いています。

 

 

私はその患者さんの手を握ることはできません。

部署が違うからです。

 

 

苦しんで手を差し伸べる患者さんを、部署が違うから無視するんです。

 

 

集中治療室の看護師さんに伝えてもいいのかもしれませんが・・・「手を伸ばしているので握ってあげてください」なんてことを言ったらなんだこいつと思われてしまいます。

みんな仕事をしているから。

かといって「苦しそうです」と伝えても、モニターがあるのでそんなことはみんな分かっています。

 

何もできない。

 

何一つできません。

 

励ますこともできないし、話してあげることもできません。

 

ほんのちょっとだけ立ち止まって、思いを振り切って去りました。そのあとは仕事だったトイレ掃除をしました。いまの私にはトイレ掃除しか出来ない、と思いながら。

・・・ばかだと思われるかもしれないんですけど、私はそうやって思ったんですよね。

 

 

 

 

 

部署が、違う。

 

 

 

 

 

その時のことを思い出すと、今でも涙が出そうになります。

看護助手をはじめてまだ間もない頃のことで、私には十分ショッキングな出来事でした。その日は泣きながら帰ったことを覚えています。

 

そしてそうやって思ったことを、誰にも言えません。みんな仕事しているから。心があるのは、入社して間もない私だけだ、なんて思いました。

 

きっといろんな新入社員が、そんなことを感じているのだと思います。

 

どうでしょうか。私は冷たい人間ですか?何も聞かずに、その場だけを見たら、きっとなんて冷たいんだ、と思われると思います。

人の心の中は、誰も見ることができません。

冷たいと思われても、しょうがないんです。患者さんを治療するために、医療スタッフは存在するんですから。私たちは、ただのコマです。

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知っていてほしい

私には患者としての経験があります。病院職員としての経験もあります。だから両方の気持ちがわかります。

皆さんにこれだけお伝えしたいです。

 

病院を冷たい、嫌なところだ、と思われてもかまわない。好きになんかならなくったっていい。

でも私たちが人間であることは、知っていてほしい。

傷ついている人を見て、何も思わないなんてことはない。

 

私たちは人を治す仕事をしていて、その為に、歯車として存在している。

この歯車は、ひとりひとり、患者と同じ人間なんです。

 

 

病院が大好き、なんて人はむしろ困り者だと思います。

だって、健康が1番なんだもの。具合が悪い時に、来てください。

 

どちら様も、お大事に。 

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