ひとりのセラピストのひとりごと

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身体が治るってどういうこと?人間の身体は、治る方が、珍しい!

 医学は人を癒すためにあります。私たちが医学を学ぶのは、人を癒すため、治すためなのですが、さて、なぜ傷は治るのでしょうか?

  子供のころから、膝を擦りむいてもいつか傷は治る、というのが当たり前でしたが、それって、何で?

  考えたことありますか?

 

  実は人の身体は、「治る」という現象の方が珍しかったりします。

  今回は、傷って何で治るの?ということについて。

 

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「治る・治らない」ってどういうこと?

  転んで、皮膚を擦りむくと、傷ができます。時間がたつと段々と治っていき、最後には消えて無くなってしまうこともあります。これは、「治る」傷ですね。

  でも実は人間の身体では、「治る」ということって結構珍しいことなんです。

 

  例えば指が一本無くなってしまった!という時。ヒイ!痛そう。

  その後、また新しい指は生えてきません。

  トカゲの尻尾みたいに、ちょん切れてもまたにょきにょき生えてくる、なんてことはないんです。

  これっておかしくないですか?

 

  皮膚の傷は、消えて無くなるのに、指は生えてこない。

 

  なんで〜〜?

 

治る傷の理由

  皮膚の傷が治るのは、皮膚をつくるものがあるからです。

  皮膚は何層か重なって出来ているのですが、一番下の「基底」という部分が皮膚を作っているんです。タケノコのように下から作って押し上げて出てきます。ニョキニョキ。

  もしこの基底部が壊れてしまうと、皮膚ができなくなりますので、傷が治らなくなります。重症のヤケドなどで基底部が壊れてしまうので、皮膚移植が必要になります。

 

  指が生えてこないのは、指に基底部が無いからなんですね。作る人がいません。だから、ニョキニョキ生えてこない。

  とっても大雑把ですが、だいたいこんなところになります。

 

 治らない場所の方が多い

  皮膚は基底部があるので、ニョキニョキ新しい皮膚が「生えて」きます。髪の毛も、爪も、同じ理由です。他には肝臓やお肉、骨も短い距離ならもニョキニョキすることができます。

  ところが脳とか、背骨の中の脊髄とか、筋肉、軟骨、肝臓以外の内臓は、ニョキニョキしません。生えてこないんです。

  ですから、基本的にはこれらの臓器を壊してしまうと、もう元に戻りません。

  交通事故や脳梗塞などで麻痺が起きるのは、ニョキニョキすることができないからなのです。

 

  傷が治るイメージってとても印象的なので、なんだか治りそうな気がするのですが、意外と一生モノがいくつも備わっている。だから身体は大事にしないといけないんですね。

 

治るってどういうこと?

  じゃあ病院行って、「治ったー!」となるのは、どういうことでしょうか。

  ニョキニョキしない場所が「治る」ということは、そもそも壊れていません。

  壊れていなくても、腫れたり、痛くなったりすることはあります。逆に言うと、腫れるとか、痛いのは、壊れていなくて、生きているから起きるのです。

  壊れる前に治せば、また元どおり使えるようになります。それが治療家の仕事です。病院以外でも、鍼灸師とか、柔道整復師とか、マッサージ師はこういったお仕事をされています。

 

 

治らない怪我や病気

  上述したように、「指が一本無くなってしまった!」。これは治りません。ですから、残った指をうまく使って生活できるように訓練します。

  例えば脳梗塞(脳の血管に何かが詰まってしまって、脳が壊れてしまうこと)や、交通事故で頭に大怪我をした時。ひどいと、脳が壊れてしまって、もう元に戻りません。

 

  (最近は再生医療なんてモノが流行っていて、無くなっちゃったものを交換できるような技術を研究していますが、脳を交換するのは一番難しいでしょうね。別人になってしまうもの。)

 

  脳が壊れてしまったら、身体が麻痺してしまうことがあります。

  脳は色々なことをしているので、言葉を話せなくなる人や、自分が誰か分からなくなる人もいますが、ここでは簡単に身体が動かせ無くなったら?ということを考えてみます。

 

 

  さて、脳はもう元に戻りません。

  身体が動かなくなってしまったら、もうずっとそのまま・・・?

 

 

  もちろん程度によりますが、身体を動かせ無くなってしまったら、残っている部分で何とか生活できるように訓練したり、道具を使って生活することを訓練します。

  例えば足が動かななくなってしまったら、車椅子で一人で移動する訓練をする。

  右手が動かなくなってしまったら、左手でご飯を食べる訓練をします。

  こういう、残ったモノで何とかしようとする訓練のことを、リハビリテーションと言います。

 

  もちろんリハビリテーションには、壊れてなかったけど、長く使ってなかったから使えなくなっちゃったよ、てな訓練も含まれます。

  例えば何ヶ月も寝たきりで、いきなり「歩け!」って言われてもきっと難しいですよね。歩き方、忘れちゃっています。だから訓練する。リハビリして、歩くことを思い出します。

 

一人で生きられるようになるために

  怪我や麻痺があっても、自分でご飯を食べたり、仕事をしたりしなければいけません。いつまでも病院にいるわけにもいかない。

  もちろん程度によってですが、動ける部分があるのなら、一人で生活できるようにしてあげたら、その人は自分で人生を決めることができます。

 

  家事をする時のこと、電車に乗る時のこと、そのほか色々な場面を考えて、リハビリをし、自宅で自分のケアをできるようにトレーニングします。

  さらに、自宅で暮らすにあたり、必要な道具を届けること、必要なスタッフを送り届けることをしたり、その人が社会の中でうまく暮らせるようになるように、カウンセリングや手配をします。

  こういった暮らしのケアを、プライマリーヘルスケアと言います。

 

  プライマリーヘルスケアは幅の広い言葉なのですが、ここでは患者さんのための、生活全体の治療だと思って頂ければいいでしょう。

 

  手や足が無くなってしまう他にも、心臓が悪くて運動ができないとか、人工透析にいかなければいけないとか、内臓でも「もう治らないから、うまく付き合って生きていこう」ということはあり得ます。

  もう治らないなんていうと、とってもショッキングですが、人の身体はそもそも治らない場所の方が多い。だから、足りなくなったら道具を使ったり、誰かが助けたりして、その患者さんが生きる手助けをします。

 

 

  治る・治らないという話は、怪我のことだけではなくて、その人が楽しく生きられて、初めて治療なのです。

  少しお話が広がってしまいましたが、「その患者さんの人生の治療」も含めたものが、医療なんですね。

  今の医療が、少しでも多くの人の手助けをしてくれることを願っています。