ひとりのセラピストのひとりごと

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新卒鍼灸マッサージ師の私が就職先に病院を選んだ理由。就職先は鍼灸「やってません」ターミナルケア病院、リハビリ室。

 鍼灸あん摩マッサージ指圧の専門学校を卒業し、末期患者のケアをする病院のリハビリ部署に就職しました。色々言われている鍼灸マッサージ業界、就職するにあたり鍼灸師資格を使わないことを選択しました。私がこの就職先を選んだ理由をまとめます。

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鍼灸師・マッサージ師の就職先

 専門学校の卒業、国家試験の合格ではり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得することができます。学科によっては3つ全ての資格を同時に取得することもでき、美容、スポーツ、医療など、様々な活躍の場所があります。

 最近では美容鍼灸のブームがあり、私の学校では女性では美容鍼灸院へ就職して行く方が多く見られます。一方、男性はスポーツに興味がある方が多く、整形外科スポーツトレーナー接骨院などで働く方が多かったようです。

 

 学校には求人がたくさん来て、説明会も開催されていましたが、私がどうしても気になったのが、ブラック企業の多さでした。

 

ブラック企業

労働者を酷使・選別し、使い捨てにする企業。「ブラック会社」ともいう。

中略

企業規模や知名度とは関係なく、入社3年内の離職率の高さや社員の年齢構成(30~40代が極端に少ない等)が1つの指標とされる。

https://kotobank.jp/word/ブラック企業-189489

 

 求人情報を見る限りでは、パワハラの有無などはわかりませんが、社会保険が無いのは当たり前で、休暇が一週間に「半休二日」拘束時間が10時間時間外手当なしなど、堂々と書いてあるのには驚きました。そして学校側も企業の選別を全くしていないので、求人のほとんどがブラック企業なんてことも(すくなくとも私の学校は、ですが)。

 採用情報がすでに違法。

 そして説明会でにこやかにその違法な条件を説明されました。

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 特に接骨院や治療院は昔あった徒弟制度の名残があって、法律を堂々と無視します。全く悪びれる気持ちも無いよう。

 

 現役入学の世の中を知らない若者は、そういった会社に就職するかもしれませんが、世の中に揉まれて30歳を過ぎた私には流石に法治国家なんだからさ・・・と思ってしまう。

 しかし「はり治療の会社=ブラック企業」というのが業界の常識なので、鍼灸やりたいから・・・と諦め顔で就職して行く人もいました。

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治療院の労働環境はおかしい

 この業界の労働常識は、間違いなく世間一般の非常識です。でも業界的には常識なので、誰も「おかしい」と言いません。でも私は声を大にして言います。

 

お前らおかしいからな!!

 

 プンプン。

 専門業界ではおかしな文化が認められる傾向がありますが、せめておかしいことを自覚して欲しい。経営が悪く、やむなくそのような条件になってしまうのは理解できます。が、せめて・・・せめて、悪びれる気持ちを持て!!

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 接骨院の経営者が知人に多かった時、内部告発されてめんどくさいことになっている経営者がよくいましたけど、それは自分が悪い。ブラック企業を堂々とやっていれば誰かにチクられて当然です。悪いことしているんだから。

 

病院就職にこだわった

 鍼灸師の離職率はものすごぉく高いです。個人的にはその理由は、ブラック企業しかないからだと思っています。せっかく習ったのだから、資格を使いたいのは当然です。でも就職先は全部ブラック企業。でも大金を払って資格を取ったのだから、就職する。でもブラック企業。だから2度とやりたくなくなってやめる。

 

 はい、無限ループの完成。

 

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 中には優良企業もあって、続けることのできる人もいますが、ものすごく少ないようです。少なくとも私の学校の求人に「優良だ」と感じるようなものはありませんでした。

 

ハローワークが比較的安全

 私は学費と資格を簡単に捨てられるほど根性が無いので、いかに安全な会社で働くか、ということを重視しました。世の中に求人広告はたくさんありますが、中でも一番安全性の高いのが、ハローワークのようです。国が絡んでいるし、サポートもあります。

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 在学中、かなり大規模な病院でアルバイトをしていました。看護師さんやら医師やらは色々文句を言っていましたが、それでも治療院や接骨院の環境よりは100倍良いと感じました。

 そこで、病院への就職を最優先して、ハローワークで仕事を探しました。もちろん、単純に病院で働きたい、病院が好きなど、やりたいことも考慮しています。

 

 

 

 余談ですが、ハローワークへ行った時に、担当の方に「学校に求人は来ないんですか?」と言われたので、「残念ながら俗に言うブラック企業ばっかりなんです」と言ったら、複雑な顔をしておられた(笑)

 

 

病院の鍼灸は整形外科

 日本では鍼灸はマイナーなものです。受療率が低く、業界でも向上させようと啓発運動が起きています。

 普通の病院では取り扱いが無く、主に整形外科ではり治療が行われています。

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 私は鍼灸や東洋医学の本領は、内科学にあると考えています。

 整形外科は運動器のみの治療となってしまうので、関係者の方には申し訳ない表現なのですが、短絡的治療だと感じます。(もちろん、整形外科学において鍼灸は素晴らしい効果を発揮しますし、優れた先生がたくさん治療をされています)

 

医療の抱える問題

 病院にもよりますが、整形外科の患者のほとんどは高齢者です。整形外科に自力で行くことのできる人は、まだ「不調の訴え」程度ですが、現代の日本には、病気のために自力で生活することができず、転院に転院を重ねる、文字通り「医者にサジを投げられた患者」がたくさんいます。

 つまり、治らない患者さん。

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 具体的に言うと、末期がんとか、心臓病、肺の問題、認知症やパーキンソン病の一番重たい状態ですね。

 

 鍼灸マッサージ師はもちろん、医師、看護師など医療者も人なので、治る患者さんを治そうとします。

 だから、重い病気の患者さんの転院は、受け入れ先を見つけるのがとても大変です。実際に問題になるのは、治らない患者さんの方。

 

 でも治らないならやりたく無い。

 一般の方にはひどいと思われるかもしれませんが、人間の行うことなので、それは自然な考えです。

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 しかし治らない患者さんも生きています。人生を最後まで謳歌する権利を持っています。だから私は、そんな最後を見つめている患者さんの、何かちょっと、孫の手くらいの役にでも立てたらな、と思いました。

 少しでも苦痛を減らして、少しでもできることを増やしてあげたい。

 自分がもしも、治らない病気だったら、そうやってくれたらすごく嬉しいから。

 

 鍼灸治療は痛みを弱めることに優れた効果があります。鎮痛剤を使えない人や、鎮痛剤が効かない人などに、痛みを緩和する効果があり、それはとても使えると思っていました。

 在学中の多くの時間は、痛みを弱める治療を、病院でやりたい、と思っていました。

 

やりたいことのために鍼灸を捨てた

 しかし末期医療には、ほとんどのケースで鍼灸が使われていません。いろんなリスクがあったり、鍼灸治療がマイナーであることから、日本での導入はほとんどされていません。

 

 私が最もやりたいことは、医療であって、鍼灸ではありません。

 学費はとても高くてこれから奨学金を返して行くのですが、そこまでして取ったはり師きゅう師国家資格と、やりたいことを天秤にかけた時・・・

 勝つのは、医療でした。

 

 患者さんや病院側に必要がないなら、やらない。

 それも選択の一つだと思います。

 

 だから私はマッサージ師国家資格の方で、病院に就職しました。

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批判もあった

 結構深く考えて、就職先を決めたのですが、卒業直後の現場はかなり大事なところだそう。そこで鍼灸治療をやらないとなると、一生やらないかもしれない、と怒られたこともあります。

 確かに私も迷いました。勿体無いのかな、って。鍼灸ってすごく面白くて、すごく効くし、誰かの役にたちそうだな〜って。

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 でも、世の中の鍼灸師の先生って、優秀なんですよね。まあいろんな人がいますけど、私の周りの先生はみんな聡明で、優しくて、洞察力があって、素晴らしい先生でした。だから、そんな私よりも優秀な人たちに、そちらのことはお任せしても良いなって。

 長い人生で、鍼灸をまたやりたくなることがあるかもしれない。その時にやれば良いかな、と思いました。

 

 今の私は、鍼灸治療より、重症の患者さんの方に興味があります。

 だから、満足して働いています。誇りも持っています。

 

 

 新しい病院で働き出して一週間、重症の患者さんに接することはショッキングなこともあります。ここのところ、毎日患者さんの夢を見ています。慣れるまでは、しょうがないかな。

 

 でも、こんな私でも話すと患者さんは喜んでくれたり、時に泣いてくれたりして、本当に感激です。ここに来てよかったな〜って思っています。

 

 

 結果的に鍼灸師になりませんでしたが、鍼灸師の気持ちは持ち続けたいと思っています。鍼灸はツールでしかない。私たちが行うのは、医療です。