ひとりのセラピストのひとりごと

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手に職つけた、ひとりのセラピストのブログ。意識低い系。

医療マッサージとは?もみほぐしマッサージとどう違うの?医療で使うマッサージ技術

マッサージと言うと肩もみやアロマを想像する方が多いのですが、医療用のマッサージがあります。医療用マッサージ技術は特殊な理論とテクニックが必要です。

今回は私が普段行なっている、医療マッサージ技術について解説します。

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肩もみは誰がやっても効果がある!マッサージの作用のヒミツ

マッサージには血行を良くするという作用があります。肩を揉んだり叩いたりすると、すこしラクになった感じがするのは、揉む・叩くなどの刺激によって体が反応し、血行が良くなるためです。

肩こりなどにある「凝った」という感覚は血流が少なくなることによって起きます。マッサージの他にも、温めたり、逆に冷やしたり、運動することによって血流は改善されます。

 

座り仕事の方によくある足のむくみ感覚も、血流が悪いために起きているケースが多いです。

足は歩くことによって血流が促進されます。座っていて足がむくむという方は、歩くと簡単に改善されることがあります。

 

ただ揉むだけじゃない!医療マッサージのやり方

医学的にはマッサージは物理刺激です。マッサージは傷を作らずに体に刺激を与えることができます。

上述した血行促進作用の他にも、神経や関節に刺激を与えて痛みを弱めたり、回復を促すことができます。

マッサージというと揉む・叩くという印象が強いです。医療マッサージ師はマッサージだけでなく、患者さんに合わせて色々な技術を使います。ストレッチや運動、動きをサポートする特殊なテクニックなどです。

こういった技術は理学療法と呼ばれることもあります。欧米で開発が盛んです。

 

東と西で考えが違う?マッサージを使う医療職

日本の医療マッサージを行う医療資格はあん摩マッサージ指圧師理学療法士があります。

 

あん摩マッサージ指圧師は東洋医学が専門です。揉む・叩く・ツボを押すなどの技術を使う方が多いです。

理学療法士はリハビリの専門職です。欧米から輸入された理学療法テクニックを使ってリハビリを行います。この中にマッサージも含まれています。

 

実は全然違います!もみほぐしと医療マッサージの違い

リラクゼーションサロンで行われるもみほぐしもマッサージです。もみほぐしでは揉んだり押したりすることで血行を良くし、体の疲れを取ります。

 

医療マッサージの目的は「疲れを取る」というおおざっぱなものではなく、もっと明確です。

 

例えば非常に多い疾患の中に、俗に言う五十肩というものがあります。

五十肩は、中年期の成人男女に見られる肩関節の運動障害です。腕が上がらなくなります。

五十肩は肩甲骨がうまく動かなくなってしまうことが原因です。肩の関節は腕の骨と肩甲骨が接続しています。年齢で肩の筋肉がうまく動かなくなり、腕を上げた時に骨と骨が引っかかって痛みが生じます。

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そこで医療マッサージでは肩甲骨の動きを良くする目的でマッサージを行なったり、運動を手伝ってあげたりします。

五十肩のマッサージ治療は一般的ですが正確に治してあげるのが難しい症状です。肩甲骨だけでなく、周辺の筋肉を全体的に観察し、治療する必要があります。

正確に治療するためには医学的な知識が必要不可欠です。 

 

まとめますと

リラクゼーションはマッサージを行う接客業です。

マッサージ自体が目的です。マッサージによってお客様にリラックスしてもらうというサービスです。

 

医療マッサージは目的が明確であると言えます。

マッサージは疾患を治療するための道具です。必要の無い方には行いません。

 

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こんなにたくさんある!医療マッサージの種類

医療マッサージは「何のためのマッサージか」がとても重要です。

体には沢山の臓器があり、複雑に機能しています。その機能を理解したうえでマッサージを行い治療することができます。

マッサージ自体が病気を治すことはほぼありません。マッサージは病気を治す環境を整えたり、病気の症状を改善する目的で行います。

また医療マッサージ師はマッサージだけでなく運動療法やストレッチも多用します。ここではまとめて医療マッサージと表現します。

 

専門的なマッサージを簡単に解説します。

 

筋肉は血流が大切。治療のためのマッサージ

筋肉の血行が悪くなると、縮まった状態が長く続き痛みが出ます。

筋肉の痛みは不快な症状です。縮まった筋肉に周りがひっぱられていろんなところが痛くなることがあります。

腰痛や肩こり、五十肩などは原因を調べてマッサージで血流を良くします。血流が戻ると動きやすさが改善され、治癒します。

 

骨折などの外傷も、血流が悪くなり不快感が出てくることがあります。外傷も血流を流す目的でマッサージをして治癒を促します。

ただし外傷治療の場合は医師の診察と同意が必要になるので、マッサージを行なうかどうかは医師の判断によります。必ずしもマッサージをするというわけではありません。

  

神経に対して行うマッサージ。脳の仕組みを知ることが大切

神経は筋肉に命令を与えたり、感覚を脳に伝えたりしている電線です。

 

筋肉は、神経から常に電気を受け取ってアイドリングしている状態ですが、これが過度になると痛みや違和感などが出現します。

神経には強く圧迫すると電気が弱まるという法則があります(アルントシュルツの刺激法則)。痛みや筋のひきつりは指圧することで弱めることができます。

 

坐骨神経痛なども神経の電気が異常になった不快な症状です。痛みや痺れが出現します。

坐骨神経痛は大元の原因を探ります。

筋肉がくっついて神経を圧迫している場合にはその筋肉を緩めます。

神経の感度が高すぎて痛みがある場合には、指圧で神経の電気を弱めます。

 

怪我する前を目指す!関節の治療、可動域改善 

五十肩などでは肩関節の動きが悪くなることがあります。怪我には炎症期という激しい痛みと熱感が伴う時期があり、それが終わると慢性期という回復期間に入ります。

慢性期には回復を促すためにマッサージや運動療法をします。

健康な人が関節を動かして、動く範囲のことを可動域と言います。

慢性期では可動域が低下していることがあり、この場合には関節を動かしてあげるなどの運動療法を行いその改善をしていきます。

これも医療マッサージ師の仕事の範囲です。

  

患者さんの頼みの綱!拘縮予防はケアにも重要

重篤な疾患で寝たきりとなった患者さんは自分で体を動かすことができません。関節は動かさないと固まって動かなくなってしまいます。これを関節拘縮と言います。

関節拘縮を防ぐために、医療マッサージ師が患者さんの代わりに、患者さんの体を動かしてあげることがあります(他動運動)。

寝たきりだから関節が動かなくなっても問題ないのでは?と思われますが、どこか一部の体の機能が下がると、全体の機能が下がってしまうことがあります。全体の機能を維持するためにも、拘縮予防の運動療法は大切です。

 

またオムツ交換や陰部洗浄で関節が動かないと、ケアスタッフに多大な手間がかかることになります。円滑なケアのためにも、拘縮予防を行います。

 

苦しむ患者さんを少しでも助けたい。リンパドレナージュ

ガンなどでリンパ節を切除した患者さんは、重度の浮腫が出現することがあります。特に下半身、足に見られます。患者さんは浮腫のために足が大きく膨らみ(ウエスト以上になることもあります)、重くて動かすことができません。

この場合は不快感を下げ、浮腫の軽減を目的としたリンパドレナージュというマッサージを行うことがあります。 

エステなどにあるリンパドレナージュとは全く違うものです。

 

一生勉強?経験と知識が必要な医療用マッサージのポイント

医療マッサージは原因が重要です。症状の原因を特定し、対処していきます。 

病気の人はマッサージ師に訴える症状(主訴)の他にもいろいろな症状が隠れています。知らないでいるとマッサージをしたことで悪化することもあるので、詳しい問診がとても大切です。

 

また患者さんはコリを訴えているものの、実は内臓の病気が原因ということがよくあります。

有名どころでは胃潰瘍で背中が痛い、狭心症で左肩が痛い、くも膜下出血の前兆で首が凝る、高血圧で首が凝るなどです。

こういった知識は専門学校で習うことは習うのですが、コリ症状だけで判断はできないので、経験とドクターとの連携が大切です。

 

医療マッサージ師は内科疾患も見極めないといけないかも?私の失敗談

私の経験では患者さんに問診しても分からなかったことがあります。

 

私は病院でマッサージをしていますが、患者さんに「首が痛い」と言われ、詳しく話を聞きました。

きっかけ(発症起点)がまったくつかめず、原因が特定できませんでした。

その患者さんは降圧剤を内服していたので、血圧のために首のコリが発生していることを考え、様子を見てドクター診察をおすすめしました。

私の病院のドクターは総合内科医が一人だけいます。数十年のキャリアのある大先生です。

 後日、その患者さんに受診状況を伺ったところ、ドクターに風邪と判断されて薬を処方されたとおっしゃっておりました。

血圧が関係していたかどうかは分かりませんが、内科的な理由でコリ症状が発生することはよくあります。しかし他の症状を聞き出せなかったのは私の不徳の致すところです。

「首が痛い」と言われただけで風邪を疑ったドクターには脱帽でした。

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おわりに

医療マッサージという言葉は病院であまり使われません。日本は医療行為としてのマッサージが認識されていない背景があります。

マッサージが専門の医療資格は、あん摩マッサージ指圧師です。

あん摩マッサージ指圧師は、医療行為のマッサージを許された資格者です。しかし教育的にも医療行為であるという認識があまり無いと感じました。

マッサージに限らず、病院も、リラクゼーション施設も、ひらたく言えばサービス業です。

しかし「自分は医療行為を行なっている。医療者である。」という自覚を持つと、技術面でもクオリティが上がります。

あん摩マッサージ指圧師の中には医療職としての自覚が無い人が意外といるようです。

私はマッサージ自体が目的になってしまうと、国家資格の意味がなくなるのではと思います。

 

医療マッサージ師が行うマッサージは、患者さんの治療のためのひとつの手段です。

多くのあん摩マッサージ指圧師がその自覚を持って仕事に臨んでくれていることを願っています。