ひとりのセラピストのひとりごと

ひとりのセラピストのひとりごと

手に職つけた、ひとりのセラピストのブログ。意識低い系。

移乗はみんなコワイという話

国家資格を取る前の看護助手時代

私の教育担当の先輩はものすごいイケメンだった。

(彼は後に救急救命士になった。このとき試験を受けていて就職浪人していた)

先輩はものすごいイケメンと同時にものすごい熱い人だった。

松岡修造みたいな感じですごくすごく熱い人だった。

正直、ちょっとイラついた(笑)

でもその熱い先輩のおかげで車椅子操作とか移乗とか、点滴棒の扱いをマスターした。

点滴棒っていうと点滴ぶら下げているガラガラなんだけど

私は循環器の病棟やら集中治療室やらにいたので一人の患者さんがつけている点滴パックの数も多いし

点滴だけでなくそれに関係するいろんな機械が点滴棒に付いている。

点滴の機械は一定時間に一定量、点滴が落ちるように調節する機械で、「ポンプ」と言う。

ポンプには点滴パック用の輸液ポンプと、大きな注射器のような入れ物用のシリンジポンプがある。

だいたいどちらも付けている人が多いので、点滴棒がすごく重たくなる。

患者さんを輸送する時は片手で車椅子、片手で点滴棒を押すので結構きつい。

患者さんに点滴棒を持ってもらうナースや看護助手もいるが、それだと道のくぼみなんかに点滴棒のタイヤがはまって転倒する可能性がある。

だから先輩は「患者さんを信用するな、自分で持て」と私に教えた。

 

車椅子と点滴棒は毎日一緒に運ぶので慣れる。

患者さんを寝かせる簡易ベッドのストレッチャーと点滴棒はたまにしか運ばない上に一人で運ぶのはすごく大変だ。

ストレッチャーの扱いは最後まで難しかった。

自分の部署のストレッチャーはまだ新しくて操作しやすかったのだけど

よりによって救急部署のストレッチャーはタイヤがなぜかロックされていて曲がるのがすごく大変だった。

救急からくる患者さんはほとんどストレッチャーに乗っている。

たくさん使うのだから操作性のいいものを置いてほしい。

あそこのストレッチャーは壊れていたのかもしれない。

 

懐かしなあ。

 

 

私は先輩の指導が良かったので移乗動作もきちんとできるようになった。

私のいた病院では看護助手用に定期的に講習会が開かれていたが、全員出るのは難しく、危機管理意識が高い人とそうでない人がいた。

意識の程度はみんな違う。

ナースも人によって

おいおい大丈夫か!?

みたいな人がいる。

看護助手は移乗させるのが仕事なので訓練するのだけど

他の職種は他の仕事がメインなので移乗訓練を受けていない。

 

 

 

 

その病院では夜勤の時間にCTを撮る時は医師が患者を連れて行かないといけないという決まりがあった。

ある晩、若いこれまたイケメンの(このイケメンは先輩よりもイケメンだった)ドクターがCTを撮りたいと言う。

私はほとんどドクターに話しかけられることがない。

用がないからだ。

でもこのイケメンは廊下で

「あの…CT行きたいんですけど…」

と言ってきた。

「はい。どうぞ」

と言ったら

「いや…その…」

とモジモジする。

何だこれ。

気を遣って一緒に行きますか?と言うとお願いしますと言われた。

 

その患者さんは車椅子でコミュニケーションも全く問題がなかった。

ただ少々フラつくことがあったので移乗時は解除しないといけない。

でも軽度の介助だったので二人で行くほどの事では無かったのだ。

イケメンだったから何かロマンスを期待したくなるものの、私よりすっごく年下で全く話したことも会ったこともない人でそれはないない。

 

CT室で移乗させる時にその理由が分かった。

軽度の介助なのにその医師は全く手が出ないのだ。

もうどうしたらいいか分からないって感じで手元がおろおろしていた。

 

考えたことが無かったのだが、医師は移乗訓練を受けていないから介助が出来ないのだ。

正直

このくらい

自分でやればいいのに

つかえねー

と思ったけど移乗時の事故は恐ろしいのでたくさん脅される。

怖くなって人に頼るのはいいことだ。

医師が介助できないのは仕方ないのかもしれない。

 

 

その後、私は国家資格を取って看護助手を辞めたのだけど

介護ヘルパーやデイサービススタッフなんかも移乗が下手なのは驚いた。

マッサージ師は全く介助しない。

みんな手が出ないんだ。

私は考える前に手が出てしまう。

転ばれたら終わりだからだ。

 

看護助手を辞めて色々経験してみて…

多分私の先輩がすごく良い教育をしてくれたんだということが分かった。

あれくらい熱く指導されないと私みたいに勝手に手が出るなんてことにならないんだと思う。

通っていた学校でも、リハビリの授業で車椅子の扱いが無意識に出来ていることを褒められたことがある。

みんなブレーキのロックとかしないんだよね。

 

看護助手はただのバイトだったので移乗訓練について何か考えることが無かったんだけど

あれはとてもいい経験だったということが今分かった。

 

今後はこの経験を人に伝えられたらいいと思う。

マッサージ師や鍼灸師は移乗訓練を受けないし、学校の先生も知らないので現場で危ないシーンを見ることがある。

みんな移乗のやり方を知らないのだ。

どこかで教えてあげられたらいいけど

そんな機会あるだろうか。

 

 

 

イケメンの先輩ありがとう。

イケメンの医師、頑張れよ。